小説・漫画好きの感想ブログ

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「御宿かわせみ12 夜鴉おきん」 平岩弓枝著 

 御宿かわせみシリーズの12冊目です。
 東吾とるい、畝源三郎の三人が主人公の時代劇ミステリ。
 ふとした言葉がきっかけとなって、江戸を襲う盗賊団の謎がとける表題作と、御宿かわせみ版の「ローマの休日」のような「岸和田の姫」がよい感じの一冊でした。
 身体が弱く城の奥深くで大切にされていた深窓の姫君が、ふとした偶然で城の外に出て東吾と出会う。外の世界が珍しく、外の世界に恋いこがれる姫君は家老等の思いやりもあって、東吾に外の話を聞く機会を何度か設けられた後に、最後の一回には江戸の町を歩く事に。
 若いときにはピンとこなかったこの手の話にちょっと目頭が熱くなったりするのは年のせい? なんてことも思ってしまいましたが、相変わらずの安定感のシリーズです。るいと東吾の、既成事実は事実としてもまったく進まない仲にも、少し変化の兆しの見え始めたこの12巻もさらっと読める一巻でした。

夜鴉おきん [新装版] 御宿かわせみ(12) (文春文庫)

夜鴉おきん [新装版] 御宿かわせみ(12) (文春文庫)