小説・漫画好きの感想ブログ

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「長い腕」 川崎草志著 

 あらすじを紹介文から抜粋しますと、、ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが…。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ!第二十一回横溝正史ミステリ大賞受賞作
 との事ですが、確かに横溝正史っぽいです。
 社会派というのでしょうか、因習やらと個人のドロドロ感がなかなか最近にはないテイストですが楽しめます。ミステリとホラー的要素、電波系要素も詰め込んだ気持ち悪い、どこか「歪んだ」世界が味わえます。 
 それは登場人物も同じで、主人公も少しずれていますが、それ以外の登場人物も全員どこかおかしくて、、、ましに見えた人物たちも結局は結構ずれていて、歪んでいて、本当に無垢でまともな登場人物が数少ないミステリです。もう少し蘊蓄がきいていれば京極夏彦さんまでいくんでしょうが、そこまではいかずに、どちらかというとアドベンチャーゲームとか和製ホラー映画のようなイメージでしょうかね。
 評価を確定させるのに、もう一作くらい読んでみようかなと思ったのですが、まだ次のものが出ていないようですから、次作に期待です。

長い腕 (角川文庫)

長い腕 (角川文庫)