小説・漫画好きの感想ブログ

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「ナチュン」6巻 都留泰作著 

 ナチュンの最終巻です。
 去年から読み始めていたナチュンもこれで最終巻です。
 ものすごくあちらこちらに話がとんでいく、SFともミステリーとも妖怪ものとも哲学ものともつかない混沌とした物語もここで終了です。
 主人公のミツテルくんは、紆余曲折の上、最終的には選ばれし者となりましたが、果たしてこの結末で誰かが幸せになったのかといえば誰もなっていないという、救いのないお話で終了いたしました。
 なんといえばいいんでしょうかねぇ。 
 どっちつかずというか、なんというか。せめてSFとして完結するか、それとも妖怪奇譚として完結するか、それともミステリーとして完結するか。どれでも良かったんですが、どれかで決着をつけてくれたらこんなにモヤモヤ感たっぷりの終り方にならずに済んだと思うのですがどうでしょうか?
 ガジェットとしては素晴らしいものがたくさんありました。
 人間ではない少女。脳みそが破壊されつつも天才性を発揮する科学者。沖縄の暗部。インスマス。海底都市。コンピューターを駆使した財政支配。豚に知性をやどらせる実験。精神重合。言語を介さないコミュニケーション。宇宙の深淵。バチカン。エトセトラエトセトラ。
 作風というかタッチの独特さ、オリジナリティーの強さともあいまって、超絶の歴史的作品になるかもと期待していただけにちょっと残念な終り方です。
 次作ではどれかにしぼってとことん突っ込んだ作品を期待いたします。

ナチュン(6) <完> (アフタヌーンKC)

ナチュン(6) <完> (アフタヌーンKC)