小説・漫画好きの感想ブログ

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「オッド・トーマスの受難」 D・クーンツ著

 オッド・トーマスシリーズの第二弾です。
 巨匠、クーンツが放つ傑作シリーズの文庫最新刊です。

 死者の霊を見る事が出来るオッド・トーマス。彼はその能力以外はとりたてて力があるわけではない、ごくごく普通の青年です。しかし、この死者の霊を見る事が出来るという体質のために彼はさまざまなトラブルに望むと望まざるに関わらず巻き込まれます。
 前作では、民間人の出来る範囲を越えて大量殺人に立ち向かうことになりました。結果、それは多くの人を助けることが出来たものの深い傷跡を彼に残しました。今作でも、冒頭での彼はその痛手をいまだ癒しきれず、職も辞し何をするでもなくただただ一日を物思いのうちに過ごしていた彼のもとへとある日突然にトラブルが舞い込みます。
 彼のもとに、知り合いの医者の亡霊が不意に現れたのです。トーマスは、あわててその医師の家へと走りました。医師の家には、ダニーという、彼の義理の息子で身体に重い障害を抱える友人が住んでいたからです。慌てて医師の家へと飛び込んだ彼が見たものは変わり果てた姿となって殺されていた医師の死体のみ。ビリーは影も形もありませんでした。どうやら襲撃者に拉致されたようです。
 自身の霊能力を駆使して犯人とビリーの行方を追いかけることにしたオッド・トーマス。
 と、そこへ彼の携帯電話に謎の女性から電話がかかってきます。後にダチュラと名乗ることになるこの女性こそがトーマスを今回の受難へと誘い込む、妖しくもおぞましい誘拐犯だったのです。
 
 ということで、あとは読んで楽しんでいただくのが良いのですが、今回、上に書いたダチュラという女性がものすごく教列でした。極めてアブノーマルで、サディスティックで、ないものねだりの霊能力欲しさに無茶を繰り返すこの女性が、本当に心の底からおぞましく恐怖を覚えるキャラでした。実際ちょっと夢にでて来たくらいです^^
 そのダチュラというオカルトに傾倒しきった女性と、死者を見る事ができるものの別に超能力を持っているわけでもないオッド・トーマスとの戦いがサスペンスものとしてよくできていた本書は、中盤少しだけだれる箇所がありましたが、それ以外は一気読みさせてくれるなかなか面白い一冊でした。トーマスの内省的なキャラと語りが心地よかったし、実際の腕力でいえば全然弱者であるトーマスか゛必死に友達のために、死者のために戦う姿には妙に心惹かれるものがありました。
 最近は海外作品はハズレが多かった自分ですが、これは良かったです。お勧めします。

オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV )

オッド・トーマスの受難 (ハヤカワ文庫 NV )