小説・漫画好きの感想ブログ

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「美味しんぼ」104巻 雁屋哲著

 「美味しんぼ」の最新刊です。
 山岡士郎と海原雄三親子の和解がなってしまい、日本全国味巡りが漫画の名前を借りた地域特産物紹介になってしまったあとのこの漫画は本当にパワーが足りません。どこどこの郷土料理は素晴らしい、保存会の誰々さんの功績は素晴らしい、などそういうのを読みたいわけではないのだが、、、と思っている方も多いと思います。
 自分もその一人です。
 ただ、今回から始まった環境問題篇は(漫画として面白いのかといわれたら疑問符はつくものの)世間一般へ現在日本が抱えている環境問題を訴えるという観点では、漫画はやはりまだまだ有効な一打であるなと思いました。ゼネコン、官僚、政治家に加えて、御用学者の存在がかなり問題だというのはまさに我が意を得たりでした。環境問題においては、「この工事や計画は環境破壊や環境的には何の問題もない」というお墨付きを与える御用学者こそ、実は健全な一般人の議論を封殺する切り札で、下手をしたら一番罪深い存在ではないかと僕は常々思っておりましたので、今回のお話はとても納得のいくものでした。
 繰り返しになりますが、漫画として面白いかは別として、ですがね。
 ただ、今回作品中で例をあげられていた天竜川のダム問題や、築地市場の移転問題をはじめとした諸問題を見ていると本当にこの国の政治はどうなるんだろうと思います。 
 また、ちょっと視点がずれましすが、変なお墨付きを与えるのが学者であるというのがこの国らしいのかも、と変なことを思ったりもしました。他の国だとこれを宗教的な権威が後ろ盾になってお墨付きを与えるんだろうなぁとか。
 まま、なにはともあれ、しばらく「美味しんぼ」は環境問題に突き進むようです。

美味しんぼ 104 食と環境問題 (ビッグコミックス)

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