小説・漫画好きの感想ブログ

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「ウサギ料理は殺しの味」 ピエール・シニアック著 感想

 今日も仕事から帰って来たのは、午前1時頃。
 大切な方からもお電話をいただいていたのですが、ここのところの過密スケジュールの仕事状況では日付が変わる前にまともに電話を受けることすらできない有り様です。
 まぁ、このご時世ですから、仕事がたんとあって、いろいろ新しいことにチャレンジできることはよいことなのですが。
 
 さて。今日はこういう機会なので、今年の年頭目標であった海外ミステリをたくさん読む、というのをのっけから邪魔してくれた一冊を御紹介しておきましょう。タイトルは「ウサギ料理は殺しの味」、いかにもフランスのミステリ風なタイトルですし、ちょっと時代を感じさせます。内容のほうも、そのものズバリでフランスのちょっと古めのミステリ小説です。
 とある田舎町に偶然辿り着いた元警部のシャンフィエは、その街で連続殺人事件が起こっているのを知ります。きけば毎週木曜日に若い女性が殺されているというのです。彼は退屈しのぎのように事件解決を目指すのですが、彼が辿り着いた結論は、彼が足しげく通うようになったカントワゾーというシェフがオーナーをつとめるレストランにウサギ料理が出ると人が死ぬということでした。迷いに迷った末に、シャンフィェはその仮説を試すべく、シェフに頼み込んでウサギ料理を出さないようにさせます。すると、ぴたりと殺人はおさまりました。しかし。どういうルートでウサギ料理と殺人がつながっているのか、その因果関係がさっぱりつかめません。悩みに悩んだ警部は、驚いた事にウサギ料理を再び店に出させるのですが、、、、。
 正直、どれほど丹念にこの小説を読んでいる読者だとしても、その相関関係は初読み時に気付くことはできないと思います。それほど入り組んだ、、、いい意味でいえば入り組んだ、悪く言えば無茶苦茶強引な、、しいていえば「風が吹けば桶屋が儲かる」的な因果関係がこの殺人にはからまっています。正直、かなりの度合いのバカミスです。ばかばかしすぎて呆れ返ってしまいます。
 実はこの作品、復刻版ということで、三十年弱ほど昔に世に出て、その時はマニアックな評価をされていたそうですが、、、うーん、どうなんでしょう。僕的にはダメでしたね。あまりに展開が遅いし、だれだれだし(まぁ、あとでそのだれだれ度が重要であることはわかるのですが、、だれだれが意味をもつというのであればパーシヴァルの「検死審問」のほうが100倍ストンと納得だし面白かった)、読んだあとにもばかばかしさだけが残りました。
 でも、まぁ、ここまでの突き抜け方もなかなかないでしょうから、そういう意味では貴重な作品? なのかもしれません。

ウサギ料理は殺しの味 (創元推理文庫)

ウサギ料理は殺しの味 (創元推理文庫)