「更衣ノ鷹(下)ー居眠り磐音江戸双紙(32) 」 佐伯泰英著
上下巻同時発売となった居眠り磐音シリーズの最新刊ですが、、、今回はとてもレビューが書きづらいです。というのも今回のお話はネタバレをせずに感想を書くのが非常に難しいのです。
それというのも、この巻では(ここから先は本作未読の方は読まないように一応注意させていただきます)、その普段の言動や溌剌さから誰も死ぬことを予期できなかった人物が死んでしまうからです。
なんというか、呆気なくというか、潔くというか、唐突にというか主要人物が一人、いや二人死んでしまいます。おまけに、さらにもう一人、これも重要人物が死んでしまいます。この最後の死者のほうは、避けられないものとしてある程度織り込み済みではあったのですが、この磐音の作品世界中ではまだまだ存命かと思っていましたのでこちらもショックで、なんだかんだでこの最新刊では主要な人々が(後から振り返ると)どんどんどんどん次々に死んでしまう寂しい巻なのでした。
お正月気分で読み始めたものの、あまりの展開とさみしさにしばし呆然としてしまいました。この磐音のしりーズは、当初こそ磐音の身の上に降り掛かる運命はあまりに過酷で苛烈で厳しいものでした。しかしここ十数巻のテイストでいえば、彼らはどんなことがあってもそれをうまく乗り越え、ほのぼのとした空気に包まれていました。ある意味、いい意味でのマンネリの勧善懲悪・人情物語になっていました。
しかし、今度のこれはそれをガラリと切り替えるような厳しい展開です。
そういう意味で、この31巻と32巻は大きなターニングポイントになる一冊です。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/01/07
- メディア: 文庫
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