小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「御宿かわせみ9 一両二分の女」 平岩弓枝著 感想

 御宿かわせみのシリーズ第9作です。
 次男坊故に、剣の達人ながらひょうひょうと暮らす東吾。その恋人で、元同心の娘でありながら今では旅籠の女将をしている、るい。友人で八丁堀の同心の源三郎。この三人を軸に展開する江戸の人情ミステリー。
 今回は、表題作の「一両二分の女」というのが一番ミステリらしい作品ではあったのですが、、、この一両二分の女というのは「安囲いの女」ということで、お正月に取りあげるのにはいささかはばかれる話。安囲いの女とは、要は数人の男で一人の女を安く囲って共用して使うというまぁあんまりにもみっともないものです。ですが、当時は妾の一人や二人はいて当然、お店ものであればそれも甲斐性のうちという今とは違う価値観のあった世界、それでも一人でそういうのを囲う力がない男がその解決にそういうことをしていたのが事件に巻き込まれ、、というお話。  
 案外に怖いお話でした。 
 今作品では、他にも「愛染川」「黄菊白菊」など女性がかなり乱暴に扱われてしまう話、逆にまた女性の恐ろしさが出てくる話などがあり、総じて後味でいえばよい話ではなかったりしますが、ミステリでいえばよく出来た巻であると思います。