「吾輩はシャーロック・ホームズである 」 柳広司著
本年11作目^^の紹介本です。
これも昨年に読んだ本ですが紹介しないままに年末になった本です。まぁ、マドンナの旦那さんのガイ・リッチーさんプロデュースで「シャーロック・ホームズ」の映画が完成したお祝いにちょうどいいかなと御紹介します。
世間的には「このミステリーが凄い」の「ジョーカー・ゲーム」や「ダブル・ジョーカー」のほうで有名かも知れませんが。
さて。本作はタイトル通りにシャーロック・ホームズのバロディです。
倫敦留学中の夏目漱石がちょっと精神を病んでしまい、自分がシャーロック・ホームズだと思い込んでワトスン博士のアパートへと転がり込んでくるところから話は始まります。この世界では、ホームズはリアルに存在しているという設定なので、ハドスン夫人もいます。そこへ漱石が、ちびっこいあばた面そのままでありつつも自分はホームズだとてんから疑わない姿勢でやってきます。おりよく、ホームズは別事件でそこにおらず、ワトスンはやむなく漱石をホームズとして扱うのですが、彼らのもとに舞い込んだ事件の現場には「あの女」アイリーン・アドラーの妹がいました。
しかも、そのアドラーがいた屋敷での降霊会で、その降霊会を主宰していた霊媒師が毒殺されるという事件が発生。レストレード警部を筆頭に事件の調査が行われることになり、偽ホームズである漱石も捜査に加わっていく。しかし、思い込みは激しいものの、本家ホームズにあるような推理能力・捜査能力があるわけではなく、ドタバタにしかなりません。しかし、そのアドラーに初恋をしてしまった漱石は必死になって事件を解決しよう、アドラーに気にいられようと必死に頑張りつづけるうちに、偶然にも助けられて少しずつ少しずつ事件の核心には近づいていきます。。。
そして、その途中で上に書いたような基本構造そのものがひっくり返るようなもう一つの構造が現れてきて、となかなか凝っています。
この柳広司さんという人は他にもこうした歴史イフのミステリーを書くパターンがいくつか散見されますがどれもなかなか面白いです。「ザビエルの首」というのと「トーキョー・プリズン」というのを読みましたがどちらもなかなか面白かったです。
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/09/25
- メディア: 文庫
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