小説・漫画好きの感想ブログ

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「電車屋赤城」 山田深夜著 

 昨日は助っ人のお嬢さんなどのおかげで我が家にもようやく窓一面にカーテンがついたり、こたつがセッティングされたりと大変家の中の文化レベルが一夜にしてあがったわけですが(カーテンをめぐる冒険といいたいくらいにたくさんの店をまわりました)、そのあとも日本酒の一番美味しいものはどれだ的な飲み納めにいったり、最後の最後でご近所のバーに顔をだしたらカウントダウンライブをされていてそのまま年明けまで飲み続けたりしていて、、、結局よく考えれば紅白歌合戦はもちろんのことながら、ゆく年くる年もお正月映画すらも見ていないことに気がついた次第。
 でもまぁこんな年の瀬もいいよね。
 
 さて。
 今年の初紹介本です。
 去年読んでいたんだけれど、紹介していなかった本がまだまだあるのでその中からの一冊です。
 一言でいえば、鉄道+感動の小説です。出だしこそひきこもりニートの少年が主人公の社会復帰小説になるのかなと思いきや、主人公はそこに少しだけ絡んでくる、電車のプロ職人である赤城という複雑な男が主人公の群像劇です。
 赤城は神奈川電鉄という架空の電鉄会社に勤めていましたが、今はその下請けのエース工業という会社に所属しています。物語は赤城がその電鉄会社をやめる事件や、その事件の影にあった友情物語や、アカギのいない空白期間、赤城が移籍した後の話、などなどを時系列をいったりきたりさせたり、主人公の赤城をさまざまな視点で描いていきますが、そのいたるところで共通のキーとして、鉄道と感動がついてきます。
 割合と一つ一つの中身は斬新なこともなく定番なお話なんですが、堅実な語り口で安心して読ませてくれます。これたぶん、普通の人が読んでもしみじみ心が温かくなると思うんだけれど、鉄道おたくの人が読むと更にもうお腹いっぱいの大満足なんだろうなぁと思います。 
 

電車屋赤城

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