小説・漫画好きの感想ブログ

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「ナチュン」1巻 都留秦作著 感想

 別作者の本と勘違いして買った一冊。
 そんなわけで偶然に手に取ったのですが、、、それだけに、この一巻だけを何の予備知識もなくて読んだのですが、、、正直、この一巻だけ読んで続きを読みたいと思うのはよほどのマニアか漫画が本当に好きな人だけではないでしょうか。
 あまりにも普通のドラマツルギーとか漫画作法とかから離れているのと、若干古めの絵柄が、読み手を選ぶというか毛嫌いされそうというか、一般受けしない匂いをプンプンさせています。ですが、自分的には何かこうひっかかるものがあって、結局追いかけています。

 ストーリーとしては近未来SFで、人工鰓肺という、人工的な水中呼吸危機を身体につけてずっと水に潜ることができるようになった百数十年先の未来の沖縄が舞台です。近未来SFながら、沖縄が舞台ということで、妙に時代感覚が麻痺した、下手したら現代よりもちょっと過去くらいの雰囲気も漂う世界。主人公は、研究者のはしくれながら、イルカの行動を観察することでAIを作れるはずだという結果だけが直感でわかったものの、その理論が作れずだらだらと沖縄で研究ともいえない研究をしている青年。普通ならそのまま海洋研究漫画になりそうなところを、不気味な科学者が出てくるかと思えば、言葉がしゃべれない女性、主人公を漁師として雇うことになるダメ漁師のゲンさん、不気味なマフィアらしい人々、そして沖縄のオバァ達といったこれ以上ないくらい濃い面々がそれぞれの動きをしているのでまったくそんな風にならず、池上永一の「風車祭」のような不思議な感じが続いていく不思議な漫画です。マジックリアリズムのような漫画とも言えるかも知れません。
 なのでストーリーを紹介するのがとても難しく至難の業なので、とにかく読んで下さいというしかないのですが、、、この本、本屋さんでもなかなか見つかりませんでした。最後の手段でいくつかのブックオフにも頼りましたが、なし。漫画喫茶もダメ。もうこうなったらアマゾンで続きを揃えていくしかないかなというような本です。つまりは一般受けしていません。でも、奇妙な味があって面白い漫画です。