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「風は山河より」第三巻 宮城谷昌光著 感想

 日本統一前夜の三河地方を描いた「風は山河より」の第三巻です。
 今回は流浪の末に城に辿り着いた松平清康の一子、広忠と水野家の息女のお大の方との寺子守りのエピソードや、そのあとの松平家の内訌に端を発する、織田勢と今川勢の綱引きなどが語られます。
 いや、本当に毎度ながら思いますが、日本史の知識があまりないせいで新鮮に歴史を楽しんでいます。こうやって読んでいくと、今川義元というのは織田信長の噛ませ犬のような扱いでしか教科書には登場しますせんが、浅からぬ因縁があり、織田と松平(徳川)の関係性でいえばこれを知ってると知らないでは日本史の理解の仕方や捉え方がまったく違うなぁと思います。
 学校で教えている範囲では、戦国大名があちこちでわーわーやっていたところに、突然彗星のごとく現れた(そして博打に勝ってデビューした)織田信長が、下克上と経済を武器に日本統一をなしとげかけるが本能寺で明智光秀の叛乱によって死亡、豊臣秀吉が天下人となるものの、朝鮮戦争の失敗やバブル経済のような金満政治がもとで政体が腐敗して、徳川家康によって倒されるというようなかなり勧善懲悪ドラマというかダイジェストすぎるものしか教えてもらっていないですから、こういう歴史がきっちりと背景にあったのを知るのは小説的な出来合い云々は別にしてよいものです。
 しかし、、、当時の日本人の武士階級の人たちって幼名、通称、正式名称や通り名、役職名などもあって、しかも親戚や親子同士で名前が似ているし、名前を継いだりするから余計にややこしいですねぇ^^ 下手するとロシアの小説以上に名前を覚えられないんじゃないのかなというくらいです。
 

風は山河より〈第3巻〉 (新潮文庫)

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