「チェーザレ破壊の創造者」1巻 惣領冬実著 感想
チェーザレ・ボルジア。毒薬と陰謀と華麗、といったところが彼からイメージされるものでしょうか。今までも数々の小説や歴史物語の主人公にされてきた彼の青年時代を描いた作品ですが、この作品は絵的な要素も含めて、その中でもかなり傑作の部類に入る可能性がある作品です。
(念のため、ここでいうチェーザレとは、15世紀のイタリア、ローマカトリック教会の枢機卿ロドリーゴ・ボルジアの息子、チェーザレ・ボルジアのことで、彼は枢機卿になったあとにイタリア統一まで目指す)
さて。この漫画、連載ものにも関わらず物語はあくまでゆったりとしか進みません。激動の時代に入る前の学生時代からゆっくりと描かれます。その中で、彼の思想や人となりを描くだけでなく、ルネサンスの同時代の人々や背景、思想の流れなどを丁寧かつ流麗に描いていて、個人的にはとても好感が持てます。
過度に美形になったり歴史的に無理があるデザインの歴史漫画が多い中、丁寧に考証を踏まえて、なおかつ魅力的な人物造型をされている惣領さんの腕が光る一作です。
前作の「es」もよかったですが、これは素晴らしいです。
- 作者: 惣領冬実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/23
- メディア: コミック
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