「ゼロ ZERO 」69巻 愛英史・里見桂著 感想
「神の手」を持つ男。全ての芸術作品を真作と寸分違わず再現する天才贋作師。などなどと言われる男ゼロのお話。美術好き的には大好きなシリーズです。ただあまりにマニアックすぎるので普段は紹介とかスルーしている部分もあったのですが、今回はあえて紹介。
というのも、今回の69巻の中には、レイトンネタがあったからです。
このレイトン、作中でも紹介されている通り、フランクフルト・ベルリン・フィレンツェのそれぞれの美術学校で学び、絵画の才能だけでなく語学や教養も蓄え、イギリス王室から爵位も与えられた初の画家という偉大なポジションにいたわりには、死後はあっさりと評価が下がった不運な画家です。一番最悪な時代には、時代遅れだからと二束三文で買いたたかれ、売られ、最後には美容室の壁に作品がかけられるような所までなった人なんです。生前不遇だったけれど、死後評価があがったゴッホやピカソなどとはまったく逆の方というわけです。けれど、このレイトンのタッチにはとても素晴らしいものがあって、代表作ともされる「燃え上がる六月」(作中ではフレーミング・ジューンとなっています)のオレンジ色の鮮やかさあでやかさ繊細さ立体感とやわらかな感触まで伝わってくるような色遣いにははっとさせられます。
そのレイトンの「燃え上がる六月」に対の作品があったのだという設定のもとで語られる話が今巻には収録されています。ストーリーそのものはわりとゼロの世界ではよくあるパターンだったんですけれど、このレイトンを取りあげてくれただけでも今回はプッシュなのでした。
ちなみに、今回他の作品ではドガの「踊り子」や、サージェントの「マダムX」などが出て来ますよ。
ゼロ 69 THE MAN OF THE CREATION (ジャンプコミックスデラックス)
- 作者: 里見桂,愛英史
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: コミック
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ちなみに、こちらが「燃え上がる六月」、すごく美しくないですか?