「御宿かわせみ8 白萩屋敷の月 」 平岩弓枝著 感想
御宿かわせみシリーズの8巻です。
時代劇であり推理ものであり人情ものであるこのシリーズ、第8巻はいつもと違った怪談話のような入り口や怪談話を使ったトリック、怪談話のような入れ替わりトリックなど、夏にふさわしいようなお話が何本か収録されており、ちょうど季節的にいい塩梅のときに読めたようで、いつも以上に面白く感じました。
相思相愛の、かわせみの女主人「るい」と神林家の次男坊でめっぽう剣術の腕がたつ「東吾」の二人に、同心の畝源三郎、それから今回の巻では大活躍だった長助、それぞれの持ち味が出ていて本当にこなれたシリーズだなぁと小説的な巧さも感じられる一作でした。
本当に短い連作短編集なので、このシリーズ、なにかちょうどよい時代劇ないかなぁと思っている人にはお勧めです。今月にちょうど文庫の新刊も出る宇江佐真里の「髪結い伊左次捕物帳余話」のシリーズほどには重くなく、ほのぼのと、それでいて気恥ずかしくなるような甘さも兼ね備えた時代劇です。
- 作者: 平岩弓枝
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/12
- メディア: 文庫
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追記:予備知識なしで読んでほしかったので最初は書きませんでしたが、表題作の「白萩屋敷の月」という作品がとても切なくて激しくて良かったです。この短篇一つだけでも、読む価値がありです。