「1984年」 ジョージ・オーウェル 感想
当然ながら、村上春樹の「1Q84」を読んだ流れからの「1984年」でした。
村上春樹の名前を出さなくてもいいといえばいいんですが、そもそもがその流れでの新訳で再登場、、それまでは絶版で読めなかった作品ですから、それを意図的に無視して紹介するのも不自然なわけです。
あらすじは、紹介文から抜粋するとこんなような感じです。
〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。
ということですが、血わき肉踊るようなものでなく、スパイものではなく内容的にはとても重くて怖いです。
カタストロフィがあるわけでもなく、派手な銃撃戦があるわけでもなく、実際の人死にが大量に作品内で出るわけでもないんですけれど、、でも怖いです。
管理社会、全体主義社会、官僚社会、などなどをカリカチュアしていて、いまどきの作品からすると導入は読みにくいけれど進んで行くに連れて案外一気に読める作品です。これは変に村上春樹さん絡みで読んでどうということではなく、変に共通項とかさがすんでなく、素でストレートに読んで欲しい作品です。
ところで。本作は、いっとき海外では読んでいないのに読んでいる人が多かった作品だとか、教養的に呼んでないと恥ずかしいだろうみたいなニュアンスまであったようです。内容的に、反共の作品として読めるような作りになっているので、全体主義に対するアンチテーゼを語るものとしてよく引き合いに出されたというのもとてもよくわかるので、そういう必然があったのでしょう。
- 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: 文庫
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