小説・漫画好きの感想ブログ

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「世界は村上春樹をどう読むか」 国際交流基金 柴田元幸他

 あいかわらず「1Q84」が馬鹿売れしている春樹さんですが、この本は、その春樹さんについてのシンポジウムの本です。村上さんと関係の深い柴田元幸さんだけでなく四方田犬彦さんなどの日本勢と、海外作家・翻訳家の皆さんのシンポジウム発表集です。
 正直、かなりマニアックというかアカデミックに偏った内容ですので、普通に面白いのかと言われたらどうかなぁと思います。ただ、コアな村上ファン・ハルキストにとっては興味深いデータがたくさん出ていますし、アジアやロシアでの村上春樹の捉えられ方、ムーブメントの発生などが事実関係としてでてきます。中国では「非常村上」というブームが起こったり、ジョン・カーウィ監督のあの「恋する惑星」が元タイトルは「重慶の森」という「ノルウェイの森」からインスパイアされた作品であったことなども語られます。
 また、村上春樹だけのことではなく、海外では村上春樹ナボコフがワールドワイドに書店で平積みされているという意外な話なども明かされています。また、春樹さんの本が唯一アフリカでは出版されていなかったりという不思議などもデータで示されていて、ゆっくりじっくり楽しむ本だなと思います。
 コアなファンの人は是非ご一読を。