小説・漫画好きの感想ブログ

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「不気味で素朴な囲われたきみと僕の壊れた世界」 西尾維新著

 失敗しました。
 この作品「世界シリーズ」という倫理の壊れた世界を描いたミステリシリーズの第四作目にあたるようなのですが、、、何を勘違いしたのか第二作目だと思って読んでしまいました。
 あらすじでいえば、とある女子校に新任臨時講師として主人公の病院坂迷路(びょういんざかめいろというのが人名です)は、串中弔士という在任講師でスクールカウンセラーのようなことをしている先生と出会います。出会いから数日にして、彼がとんでもなく人格破綻しているということを了解した迷路ですが、普段なら気にするそこよりも目の前で起こる連続殺人事件(男性教諭が次々と殺されていく)にひたすら巻き込まれていきます。最初は意図的に、最後は能動的に。狭い校内で起こる連続殺人ですから、犯人が校内もしくはその関係者という事は間違いなく、身の回りに殺人鬼が潜んでいることは確定という状況だけに、それは新人でいっさいの怨恨関係が学内にない迷路にとっても危険な状況。はたして迷路は犯人を逮捕、もしくは事件の真相にたどり着けるのか。。。。というお話です。
 さて。
 まぁ、そういう話なんですが、ストーリーはいたってフェア、ひっかけにひっかからないように後からよく読めばサービスしすぎるくらいのサービスをしています。なので、トリックも含めて全てはわりあいとシンプルでオーソドックスです。
 しかし、特筆すべきはそのリーダビリティの良さ。
 赤川次郎かと言いたくなるくらい、いやもっとレベルは上かな、読みやすさ、サクサク感があまりにも強いです。たぶん、1時間か2時間くらいで余裕で読了してしまえるレベルです。思うに、おそらくはそれこそが西尾維新の強さだろうとは思うのだけれど、一人語りの主人公の独白が読みやすすぎるんでしょう。その告白や思考がどれだけ通常人と違う異常な人格だとしても、異常な能力を下敷きに人格形成された歪んだ世界観のものであれ、その語りがあまりにもスムーズなのが特徴なのでしょう。
 

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)