小説・漫画好きの感想ブログ

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「キマイラ7 梵天変・縁生変」 夢枕獏著

 キマイラ、いよいよここまで来ましたか。
 ソノラマ文庫でいうところのキマイラ「梵天変」と「縁生変」の二冊が一冊になった新装版。昔でいうところの13巻と14巻です。この二巻ではキマイラとはそもそも何者か、どうして久鬼源造がキマイラと関わる事になったのかが、彼の青年時代まで遡って描かれ、かつまたその彼が当時知った更に古い時代の話まで物語は時を遡ります。具体的には明治自体の大谷探検隊の中央アジア・西域探険隊の話までいきます。かつて列強の力のせめぎ合いがあったチベットの話に繋がります。かつて読んだことがある本ではあるのですが、やはり心躍ります、この物語。
 物語が物語を必要として、それらが相乗的に物語を分厚く深く強い律動のある物にしていく。「陰陽師」などのさらりとしたものとは別系統の強く太い、登場人物たちですらそのパーツに過ぎないように思えるほどの物語というものがここにはあります。
 夢枕獏のライフワークとなっている作品だけに、本当に深く熱く面白いです。是非最初の1巻からお読み下さい。1巻こそ、まだ子供向けのジュヴィナルな部分がひっかかるかも知れませんが、2巻以降は一気に読んでしまうことになると思います。

キマイラ 7 梵天変・縁生変 (ソノラマノベルス)

キマイラ 7 梵天変・縁生変 (ソノラマノベルス)