小説・漫画好きの感想ブログ

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「蠱猫—人工憑霊蠱猫」化野燐著

 あらすじというか紹介はこんな風に書かれています。 
 妖怪を具現化する力を持つ禁断の書、『本草霊恠図譜』。図書館の片隅の古びた土蔵から、美袋小夜子がこの書を発見したことで、学園都市は戦いの舞台へと変貌する。“蠱猫”とは?“有鬼派”とはいかなる者たちか?穏やかで近代的な学園都市が激しく凄惨で果てない対決の嵐の中に。妖怪伝奇小説登場。
 説明は、嘘ではありません。
 でも、まったく乗れませんでした。
 妖怪と科学とオカルトと神秘学が融合したエンターティナメント作品、という位置づけなんだけれど、、、、なんだろう。ものすごく読むのが大変でした。
 自分自身の好みでいえばこのジャンルは嫌いではないし、むしろ好き(妖怪や魔物を完全認めた、あるいは認めた前提の作品も好きだし、概念としての妖怪として妖怪そのものは狂言回しの作品も好き)なんだけれど読むのがとても大変でした。
 たぶん、こんなことを言っちゃうとファンの方には怒られちゃうのかも知れないんだけれど、小説としての作法だったり書き方がまだまだ不十分なんだと思う。勿論のこと、プロのものかき相手にその良い方は不遜なのかもしれないけれど、読んでいてしっくりこない、作品に入り込めない、だけでなく物語がきちんと起承転結を向かえないというのはいただけません。なんせ、これ一冊だけで読んでもわからないことだらけなのは勿論のこと、隠された事件、見えない事件が多過ぎて消化不良の気持ち悪さしか残らないのですから。
 ただ、他の方の書評とかを読むと、実は、この作品は「白澤—人工憑霊蠱猫」「渾沌王 人工憑霊蠱猫 」という三作で同じ時間軸上で起こったことを三方向から描写することで全貌が見えてくるような構成だということ。うーん、、、そういう事は読む前にどこかに書いておいて欲しかったし、既に一定以上の評価のある作家さんの作品(例えば前出の妖怪や魔物にからんだカテゴリーで言えば、菊地秀行夢枕獏とか畠中恵、北森鴻に小野不由美等、西尾維新)であれば、そういう仕掛けも大作として受け入れて心構えもしますが、ほぼデビュー作でこれというのはちょっと意外というか予想外で正直どうしたものか困ってます。
 このまま辞めちゃうのはあまりにももったいないし、でも、テーマはともかく、文体とかタッチとかがあわないままで楽しめなくて三冊(残り二冊)読み終わるとそれはそれでなんだかなぁとなるだろうし悩ましい限りです。
 作品のパターンとしては、オカルトと妖魔と科学の融合のエンタメということでいえば、朝松健とかのあたりの雰囲気なんだけれど、タッチがあまりにもこなれなさすぎて。。。迷います。

蠱猫 人工憑霊蠱猫01 (講談社ノベルス)

蠱猫 人工憑霊蠱猫01 (講談社ノベルス)