小説・漫画好きの感想ブログ

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「ヘルシング」10巻 平野耕太著

 吸血鬼漫画のヘルシング、いよいよ最終巻です。
 吸血鬼の能力を全開にして全ての命を飲み込んで絶対無敵な力を発揮するアーカードに対して仕掛けられたシュレディンガーの猫と、糸使いのウォルター執事。そして、人狼と女吸血鬼セラスの闘い。ラスタバタリオンを繰り出してロンドン全土を焦土に変えた「少佐」と、王立騎士団のインテグラの闘い。全てに決着がつきます。
 ナチスドイツのラストバタリオンたちを研究のすえに吸血鬼化した科学とオカルトの力と、正真正銘の吸血鬼とのぶつかり合い等が描かれるわけですが、、、いかんせんちょっと冗長すぎた感がなくもないです。発刊ペースが遅すぎるのもあるのでしょうが、イギリスでの本土決戦になった直後あたりからスローペースになりすぎました。なので、ラストが少し間延びして感じてしまいました。そこだけは残念なんですが、一番ラストのところはなかなか感慨深いものがあって全体してはよい終り方でした。
 この作品。吸血鬼ものとしては、好みはすっぱりと別れるかとは思いますが、伝奇もののガジェットやら蘊蓄をさんざんに放り込んだ上に吸血鬼の新解釈や新しい戦い方を描いた作品としてはかなり上出来の部類になるかと思います。
 平野耕太さんのタッチがかなり描き込みをするタイプなのと、ベタを多用する方なのでかなり画面も暗くて作品内容にはマッチしていると思います。逆に眼鏡フェチというのも反映されていて、作品内には男女問わず眼鏡をつけたキャラが大量に出てくるし、バチカンやイギリスの円卓会議を筆頭に老人達も大量に出てきたりしますが、それが作品に重厚さも加えてくれています。
 全体としてはなかかな良く出来た作品なので、全10巻と長いですが漫画喫茶などで一気読みされるのも一興かと思います。
 

HELLSING 10 (ヤングキングコミックス)

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