小説・漫画好きの感想ブログ

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「ザビエルの首」 柳広司著

 フランシスコ=ザビエル? を主人公とした連作ミステリ。
 「ジョーカーゲーム」の話題で気になっていた柳広司。少し前に「トーキョー・プリズン」を読んで面白いなと思ったので、文庫新刊が出て早速手にとってみました。
 前作が、巣鴨プリズンを舞台にしていて歴史的なモチーフを使ったミステリだったのですが、今作もザビエル(あのイエズス会の宣教師のザビエルです)を使ったミステリで、こういう歴史上の人物を狂言回しに使ったミステリが彼の持ち味のようです(同時に「シートン動物記」を使ったミステリも出ていますが、まさかロボが主人公ってことはないと思うけれど)。
 さて。
 この話では、主人公は現代に生きるオカルト雑誌のフリーライターです。しかし、彼はザビエルのミイラ化した首を見てしまった瞬間から、ときどき意識だけが時空間を超えて、ザビエルのいた過去の世界へと飛んでしまうようになってしまいます。それも、ザビエル本人にくっつくわけではなく、ザビエルが日本や、フランス、インドで色々な殺人事件に巻き込まれた現場の誰かの身体に意識を共有するような形で意識がとんでしまうようになります。
 そして。彼はその自分が意識を共有した人物の口を借りて、事件を解決、というのがパターンになっていきます。しかし、本人からすると何故にザビエルに呼ばれてぽんぽん過去へとばされるのかもわからなければ、その飛ばされた先でなんで殺人事件の謎解きばかりさせられているのかも分からないままです。一応最後の最後にその謎解きはされるんですが、納得できるような納得できないような理由で、それが続編につながるような繋がらないような感じです。
 まぁ一言でいうと全体的に微妙な仕上がりでした。
 面白くないこともないし、こういうパターンもありっちゃあありなんだけれど、凄く面白かったかというとそうでもなく、でも一時間ちょっとでサクサク読めるリーダビリティーはあって、、なかなか評価に苦しむ仕上がりでした。

ザビエルの首 (講談社文庫)

ザビエルの首 (講談社文庫)