小説・漫画好きの感想ブログ

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「鴨川ホルモー」 万城目学著

 鴨川ホルモー。映画化だそうで、文庫に落ちたことですしと遅ればせながら読んでみました。ちょっと前に読んだ森見登美彦さんの「夜は短し恋せよ乙女」もそうでしたが、この万城目学さんの「鴨川ホルモー」も面白くって、もっと早めに読んどけばよかったなぁと思った次第です。
 舞台は京都。
 若者たちの青春と、馬鹿馬鹿しくも古代から連綿と受け継がれて来たとあるイベントを描いた作品で、気持ちよく楽しませていただきました。古代から受け継がれてきたイベントというのが、今流行りの陰陽道がらみのもので、主人公たちは古代からの契約に乗っ取り、人外のものを使役して京都を舞台にいくつかの勢力に別れて戦うんですが、、、たぶん、これだけでは間違ったニュアンスで伝わっちゃうと思います。今説明したような内容なのは間違いないんですが、文面から受ける、まるで週刊少年ジャンプ的な闘いの物語でもなく、ハリーポッターのようなファンタジーなものでもなく、もっと馬鹿馬鹿しくてどこかしょぼい、でも一風変わったゲームを彼らはやるのです。ホルモーという言葉が実に絶妙にその感覚を伝えてはいるのですが、そのあたりは読んでのお楽しみです。
 あらすじとしては、主人公たちが京都の葵祭の夜にサークル勧誘をされるところから始まり、実は先輩達の用意周到な作戦により、一学年置きにしかメンバーがいない不思議なサークルの謎を追う中で徐々に彼らの目論みやホルモーという謎のイベントの正体がわかっていくというもの。その中で、恋あり、冒険あり、学園ものあり、といろいろ楽しいイベントが次々に起こります。
 キャラクターが主人公をはじめとして、全員くっきりとキャラ立ちしているのでそういう風に青春小説的に読んでも十二分に面白いです。デビュー作ということでか、ちょっとところどころ構成が不自然なところもありますが、それを補ってあまりある楽しさがこの本にはあります。
 映画のほうは、今ちょっと予告とか見た限りでは山田孝之やら栗山千明という異色キャスティングで、、大丈夫かなと思わせるものですが、映像にすればしたで結構面白そうな作品です。
 龍谷大学とか京都大学とか京都産業大学とか同志社大学とか、本当にローカルで懐かしい大学の面々が主役なので関西だとさらに楽しめる仕上がり、かな?
 (ただ、映画予告とかキャスト見ていると、オリジナルキャラが大量投入されているようです。笑福亭鶴光だとかパパイヤ鈴木がそのあたりに振られていますので、全然別ものっぽくなっているかも知れません)
 

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)