小説・漫画好きの感想ブログ

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「ヒストリエ」5巻 岩明均著

 「寄生獣」「七夕の国」の岩明均さんの、最新作の最新刊です。
 一時休載していましたが、めでたく復帰ということで、5巻が発売になりました。
 舞台は紀元前4世紀のギリシアやマケドニア。主人公のエウメネスは、アレクサンドロス大王に使えた奴隷上がりの書記官(奴隷説以外も諸説あり)として有名でいろいろな小説でも取りあげられていますが、漫画化されたのはたぶん初めてです。実際問題、たしかに彼よりはその主人となるアレクサンドロス(日本だとアレキサンダーといったほうが有名ですかね)のほうがエピソードに事欠かないだけに、彼にスポットはあたりにくいですが、知れば知るほどこのエウメネスという人物は興味深いです。前半生が謎なのもそうですが、人生がけっこう波瀾万丈で面白いんです。
 現5巻までは、彼の少年時代から青年期の始まりまでを描いているのですが、今後がとても楽しみな展開で、このままちゃんと晩年まで描ききれれば、大長編物語の傑作になりそうな気配が大いにありますので楽しみに追いかけていきたいと思います。
 あ。もちろんのこと、岩明さんの作品ですので、主人公のちょっと人とずれた感触や、同じ人間で同じ感情をもっている筈なのに、少し違う感覚で世の中を生きているような描き方はこの漫画でも踏襲されています。個人的には、あの物事に動じているようで芯の所ではまったく動じてないキャラクター達が好きです。

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(5) (アフタヌーンKC)


 ちなみにアレクサンドロスさん、イスラム世界ではアレクサンダーではなく、イスカンダルと呼ばれているそうです。宇宙戦艦ヤマトが訪ねて行ったのは、実はマケドニアだったのですね。