小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

村上春樹 イスラエル市内でイスラエル軍とハマス批判

  おはようございます。
 今日は久々に胸がすっとする、感動するお話から。
 我が心の文芸アイドル、村上春樹さんがイスラエル最高文学賞とされる「エルサレム賞」を受賞しましたんですが、感動のポイントはそこではなくて、その受賞スピーチを昨日現地イスラエルで行ったときの彼の言葉です。彼は、今でも空爆を続けていて、国民もその空爆を指示しているイスラエルのど真ん中で、公然とイスラエルのガザ地区侵攻を批判したのです。
 勿論,同時にハマスも批判はしたわけですが、あの超戦闘国家の中でこの発言を行ったということ、そしてワールドワイドで活躍する人間としてはリスクの高い、イスラエル支持のユダヤ勢力からの反感が出ることを覚悟してこの発言を行ったこと。
 これはもう小説家云々としてではなく、一個人として素晴らしく勇気と覚悟のあることだと感動しました。昔からの春樹ファンからしたら、初期の世界なんてあるがままでしかない、と世界とコミットメントしない代表格だった彼がここまで、、というのには感慨深いものがあるのではないでしょうか。
 彼が世界とコミットメントしようと思って動いたのはオウム真理教地下鉄サリン事件の被害者や元信者たちへのインタビューであった「アンダーグラウンド」「約束された場所で アンダーグラウンド2」あたりからですが、河合隼雄との対談集でその変化について書かれていてもここまで激変するとは思いもしていませんでした。
 興奮して感動しててちょっと上手く言葉がまとまりませんが、村上春樹さんは改めて凄いなと思います。ファンで良かった。
 

作家の村上春樹さん(60)は15日、イスラエル最高の文学賞エルサレム賞」を受賞し、エルサレム市内の会議場でスピーチを行った。村上さんは、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻を批判、日本で受賞をボイコットすべきだとの意見が出たことを紹介した。
 村上さんは例え話として、「高い壁」とそれにぶつかって割れる「卵」があり、いつも自分は「卵」の側に付くと言及。その上で、「爆弾犯や戦車、ロケット弾、白リン弾が高い壁で、卵は被害を受ける人々だ」と述べ、名指しは避けつつも、イスラエル軍やパレスチナ武装組織を非難した。 

 追記:春樹さん、還暦だったのですね。で、あの瑞々しいタッチ、そちらも凄いです。
 追記2:イスラエルの賞だから受賞をボイコットするようにという提案をしたグループもあったようですが、あえて受賞してそこに赴き、こういう発言をする方が勇気ある行動だと自分は思います。受賞をボイコットしても、それはイスラエルの記録には残らないが、このスピーチがあるとそれはもう消す事ができない記録になるわけで、こちらのほうがより効果がある反戦のメッセージになったと思います。
 追記3:「壁」という表現からイスラエルの現実の壁や、ドイツのベルリンの壁、村上作品の諸作品に出てくる壁、そして「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の壁を想起した人も多いと思います。