小説・漫画好きの感想ブログ

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「ヘタリア」 日丸屋秀和

 昨日少し取りあげた「ヘタリア」です。
 巷では二巻も発売、しかも大々的にフェアをやってもらっているところを見ると累計50万部の大ヒット、キッズチャンネルではアニメ化放映も間近(1月24日スタート)だとか、、、、。もはや立派な社会現象的なヒット作です。
 ただ、知る人ぞ知る的なムードもあり、このあたりがメジャー誌からのヒットではない所以でしょうか。
 で、その作品の中身ですが、どんな漫画かというと、主人公はイタリアです。繰り返します、主人公はイタリアです。イタリア人ではなく、イタリアです。つまりは、国が擬人化された漫画なのです。下の表紙の少年がイタリアです。ちなみに、左がドイツ、右後ろが日本です。この国が擬人化されたというところが読んでいただかないとたぶん上手く伝わらないでしょうが、よくイメージの話でアメリカは「傲慢だ」とかフランスは「傲岸で、美意識が高く」、イギリスは「生真面目、暗い」とかいうのがあるじゃないですか。あれをそのまま擬人化して、時代背景を第一次世界大戦、第二次世界大戦前後に設定したのがこの漫画で、歴史的経緯のあれこれや、国別ジョークみたいなのを漫画化したのがこの作品なのです。
 そして、イタリアがどんな国として描かれているかといえば、一言でいえば「へたれ」、どうしようもなく役に立たなくて気が弱くて出来の悪い子、だけれど可愛い子として描かれています。タイトルの「ヘタリア」は「へたれ」+「イタリア」の造語だったりするのです。
 ただ、この作品、切り口が斬新なこともそうなんですが、ある程度歴史的な事実というか国の歴史みたいなのを知っていないと本当の楽しさがわからないんじゃないかなぁというちょっと微妙な位置づけ。タッチはバリバリショタの少女漫画風、キャグや絡みもそんな感じ、でも扱っているのは国民ジョークと歴史ネタということで、どちらのファンも楽しめるんだろうけれど、どちらもがはまっている人はどれくらいいるんだろうかと思うんだけれど、、、自分みたいにどちらもいける口には極めて面白いです。去年最大ヒットだった「聖☆お兄さん」も仏教やキリスト教ネタがわかればわかるほど面白かったように、これも歴史ネタを知っていたらかなりツボにはまります。
 親切なことには4コマ漫画の下に、歴史的な話や国別小ネタをちょこちょこ書いてくれていること。これがないともっと敷居が高くなっていたかと思います。そして、これを読んでいくとけっこうそれが面白い。例えばこんな感じ。
 イギリスの諜報組織・・せっかくイギリスの上司がその存在を否定していたのに、タクシーで「MI6」というと連れて行ってもらえるという噂があるくらい市民にはバレバレの組織。
 ロシアでWW1・・・ロシア兵は防寒具も食料も持たせてもらえなかったらしい。ドイツの捕虜になっていたロシア兵は、のちにロシア軍によって収容所から解放されたとき全員絶望したらしい。
 ここには挙げれないけれど、他にも漫画とミックスした上でのコネタも多く、それは読んでみないと分からない面白さかと思う。ちょっと癖があるし、キャラのかきわけがタッチとあいまって白黒だとちょっとわかりづらい処もあるけれど、結構楽しませてもらいました。

ヘタリア Axis Powers

ヘタリア Axis Powers