小説・漫画好きの感想ブログ

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「夏目友人帳」7巻 緑川ゆき著

 近所のお好み焼き屋さんに行って遅めの朝ご飯を食べに行って来ました。徒歩数分のこととて散歩にもならない距離なんですが、モダン焼きがとてもおいしく粉もん文化圏で育った人間の口からしても「ふんわり」型のお好み焼きとしてはけっこういい線をいっているお店です。 
 自分で焼くんではなく、焼いてもってきてくれる店なので、そのあたりで好みは別れるとこですが個人的にはぼちぼちと評価です。さて。


 「夏目友人帳」7巻  緑川ゆき

 最新刊。いよいよ「夏目友人帳」もリアル発売に追いつきました。
 前巻あたりからですが、三話・四話とひと繋がりの話が出て来ていて、物語当初のどこから読んでも構わないという路線は崩れてきていますが、そのぶんお話はより深みを帯びて来ていてよい感じです。その深みとは、妖怪達との距離感が違う人物が多様に出て来ていることと、それに対しての夏目の葛藤と成長です。夏目のような形での妖達との付き合い方は当然ながら或る意味普通ではなく、この世界での多くの人間達にとっては妖怪たちははなから存在しないものです。でも一部、見えるものもいれば、術をもってそれらと干渉しあえるものもおり、それらの妖達との距離のとりかた、つきあいかたが夏目に二重の意味での成長を促しており、そのあたりが作品に深みを加えてきています。
 情がないわけではないけれど祓い屋としての本分にも従って動いている名取。彼は、夏目とは微妙な距離を置きつつも心を通わせようとしています。そして、今作で登場の的場一門は妖怪たちを餌・もしくは道具としてしか認識していません。彼らにその存在を知られてしまった夏目が、彼らと今後どう向き合っていくのか、巻き込まれていくのか、その中でニャンコ先生とどう進んでいくのか、今までの少女漫画的なタッチや要素に加えて、少年漫画的な要素も加味されてきてより傑作になってきたなぁとしみじみ思います。
 作品全体には著者独自の、優しいしみいるような暖かさといい意味では甘やかさ・善意が根底にあるものの、苦みも濃くなってきてますます楽しみです。
 前巻から読み切り作品が一作ずつ収録されているのも、夏目友人帳だけを読みたいという人にはいらないかも知れませんが、そのぶん刊行ペースもあがっているし過去作品も読めると思えば個人的にはよい収録の仕方かと思います。アニメの第二シーズンももうじきスタートでのっている本作、お勧めです。

夏目友人帳 7 (花とゆめCOMICS)

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