小説・漫画好きの感想ブログ

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「多重人格探偵サイコ」13巻 田島昭宇×大塚英志著

 本年389冊目のレビューです。
 前の12巻のあらすじレビューでも書いたように、いよいよ最終章に入ったこの物語。今回は物語そのものこそさして進みませんでしたが、雨宮一彦、西園弖虎、西園伸二らの人格プログラムの意味とルーシー・モノストーンと伊園真知の関係などの大枠がトントンと明かされて、物語的には巻きに入っていきます。
 ただ、大風呂敷の設定があいかわらず無茶なんで、だからどうなったんだ? という話は特になく、どちらかというと、みんながみんなやりたい事をやって自分の都合のよいようにプログラムを組んでいる混沌とした状況しか見えてきません。穝所の頃の、多重人格プログラムによるサイコキラーとスペアパーツ設定くらいでもう少しうまく話がまとまったんじゃないかなぁという気がしないでもありません。関西弁のあのテロリストとの戦いや、苦悩する雨宮一彦とルポライターが見つける鉢植え殺人のあたりのほうが物語的には盛り上がっていたように思います。
 ただ、ここまできたら最後まではつきあいますので、最後にもう一花大きく盛り上がって欲しいものです。うらんこと青島刑事ネタだけではちょっと苦しいです。もう一踏ん張り。もう一盛り上がり希望です。