小説・漫画好きの感想ブログ

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「泥棒は図書室で推理する」 ローレンス・ブロック著

 泥棒探偵のバーニィ・ローデンバーシリーズの第八弾です。
 このシリーズ、ポケミスで先行してあとで文庫に落ちるのが定番だったんですが、最近は文庫に落ちないし翻訳も止まっていますので、早く新作が出て欲しいものです。
 さて。今回のお話は、純然たるミステリ読みのためのパロディミステリです。シチュエーション、台詞まわし、どんでん返し部分のいろいろなパートまでがすべてミステリファンならにやりとするようなバロディ満載です。その為にプロットだったり、トリックだったりについてはレベルが低いのですが、ミステリ読みであれば楽しめると思います。特にハードボイルドファンにとっては、感涙ものです。
 というのも、今回ローデンバーが狙おうとするのは、レイモンド・チャンドラーの傑作「大いなる眠り」の初版本。それもただ単なる初版本というだけでなく、その本は、チャンドラーがダシール・ハメットに献辞つきで送ったという一冊。それも、世の中にはその存在が知られておらず、アメリカの田舎にぽつんとあるイギリス風のカントリーハウス「カトルフォードハウス」というホテルに眠っているというのですからたまりません。
 ちょっとした失恋のせいで予定変更して、友人のキャロリンとカトルフォードハウスに向かうローデンバー。そこには、いかにもなイギリスミステリに出て来そうな人々が泊まっており、本は、誰にもその価値が気付かれることなく図書室に置いてありました。楽勝な仕事だったとローデンバーがその本を手にとろうとしたその夜、第一の殺人事件が起こります。そして、歴史的なほどの大雪。ホテルはどこにも行けない陸の孤島と化します。ご丁寧なことに、ホテルへと続く谷の橋までもが落ち、電話線も切れます。そして、お約束のように一人ずつ人が死んで行きます。。。
 ということで、ミステリパロディの一冊、「泥棒は図書室で推理する」。これは面白かったです。
 同じローレンス・ブロックでもマット・スカダーシリーズの主人公のスカダーや、「殺しのパレード」などのケラーとはずいぶん雰囲気もタッチも違う作品です。

泥棒は図書室で推理する―泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

泥棒は図書室で推理する―泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)