「黙契」 佐伯泰英著
ネットで仕事の資料調べがけっこう進んだので、ちょっと一服一休み。
この本、しばらく前に「黙契」と「御暇」の二冊同時発行で出ていたので、紹介も同時に行こうと思っていたのですが読むのがちょっと先になっちゃいそうなので、先にこちらから。
幕末の激動の時代に生きる溌剌とした主人公を描いたこの「交代寄合集」座光寺藤之助シリーズも、この「黙契」で長きにわたって繰り広げられていた長崎・上海篇が終わり、舞台は江戸へと戻ることになります。その為には最後の難関として、藤之助や隠れキリシタンを目の敵にしていた邪宗改めとの戦いもクライマックスを迎え、それがこの巻でのハイライトとなっています。
当然、それにあたっては藤之助と玲奈の恋にも一つの決着がつけられるわけですが、そちらは読んでのお楽しみ。
このシリーズは、舞台の背景が幕末の明治維新に向けて疾風怒濤の激動の時代ということで、このあとも主人公の藤之助はあちらへこちらへと奔走することになるのでしょう。同じ著者の「居眠り磐音シリーズ」の主人公と比べると、泰然自若というよりもあまりにも自然体で奔放過ぎるような気がするこの主人公においては、ここまで読んでもこのあと果たしてどんな物語を紡いでいくのかまったく先が読めなくて、でもそれが楽しみなシリーズです。
首切り安堵という特殊な密約を彼が実行することがあるのかないのかも含めて先が楽しみです。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/14
- メディア: 文庫
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