「グインサーガ124巻 ミロクの巡礼」 栗本薫著
今年最後のグイン・サーガです。
今回は「ミロクの巡礼」というタイトル通りでミロクの巡礼の旅を通しながらのダネイン大湿原の観光ツアーとなっております。。。つまりは、ストーリーは大枠で進んでおりませんし、ネタバレ的に言っちゃうと、タイトルから「あ、フロリーとスーティのその後だね」と思っていたらば二人はまったく出て来ないという予想外のオチまでついてきます。
では誰が旅しているのかというとヨナ・ハンゼ博士です。彼が、物語に大きく今後影響してきそうなミロク教の聖地であるヤガに向かって旅をしていきます。その旅の中で色々と回想したりなんやかやをしていき、物語の最後でとある人物と出会うことになるというのがこの巻のお話。本当に進みません。
感想を率直にいえば、もうちよっとはストーリーを進めてもいいかなと思うのですが、今回旅したダネインはグインサーガの初期の初期から名前だけはたびたび出てくるものの本編では描写がなかった地区なのでそう考えればまぁこれはこれでよいのかな。ただしダネイン大湿原って本当に見るべきものがない土地なんで、やっぱりもう少しストーリーを進めてもらってもいいでしょうか。
この巻の最初の方でカメロン船長とかが出てくるあたりはびしっとストーリーが引き締まるのですが、後半はまさに観光案内でした。ミロク教のありようやら、最後の最後でヨナが出会う出来事から何を読み取って行くのかどういう風にミロク教が変質・世の中に浸透していくのかを推理想像していく楽しみはあるものの、もう少し進んで欲しかったです。
著者がいうには、初期のローマ教のようなものとして想定されているようですが、どの国家がそれを庇護するかという話になるとなかなか想像がつきづらいところです。
ともあれ、気になるのは著者の栗本薫先生のあとがきのほうで、それを読むとかなり体調がお悪いご様子で、あの栗本薫先生が1時間とパソコンの前で原稿が書けないそうで、それがかなり心配です。本編が終了しないまま終るのではというような事態は避けたいので、無理せず逆にゆっくりとでいいから健康に注意して書いていただきたいものです。
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/12
- メディア: 文庫
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