小説・漫画好きの感想ブログ

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「夏目友人帳2」 緑川ゆき著

 
 人には見えないものが見えてしまう異能の持ち主である、夏目。
 彼は幼い頃からその特異体質が災いしてか、両親亡き後は親戚中をたらいまわしにされ不遇な時代を過ごしていた。しかし、最終的にたどり着いた町では優しい家族に恵まれ、ささやかながら自分の居場所を築きつつある。
 ただし、そこには今までの町以上にややこしいこともあった。それは、夏目の祖母が残した「友人帳」と呼ばれるものの存在である。その友人帳は、夏目同様に能力をもっていた(しかもより強力な)祖母が、近隣の妖怪を倒し、その名前を記したもので、それがあれば名前を書かれた妖怪に言う事をきかせることが出来るという代物。それ故、名前を書かれた妖怪たち、それを奪い力を得ようとする妖怪が夏目を狙ってくるのだ。  
 とはいえ、そういうバトル的な要素はこの漫画には少なく、大抵はその友人帳に記された妖怪たちの交流や、彼が見えるが故に関わることになった妖怪たちとの話がメインになり、激しさよりも優しさやせつなさが溢れる話が主体となっており、今回もその傾向は強いです。ただ、前作よりはそうした交流の結果か、夏目に多く笑顔が見えるようになっており、読んでいて少し幸せな気分になりました。前作では夏目の孤独な過去の部分が強かったですから、これくらいは普通の生活が出来るようになってこないとあまりに夏目が不憫で。 
 ニャンコ先生や、引き取り主のおばさん夫婦と楽しく暮らせる毎日がもっと安定してくれたらと思います。
 さて、気になるといえば、前作を読んだときにもちらりと思ったのですが、この緑川さんのタッチは凄く繊細で、またキャラクターのアップよりは全景を描くシーンが他の漫画家さんよりも多いようで、コミックスで小さいサイズに縮小されると全体的にごちゃっとなってしまうのが玉に瑕でしょうか。連載時のサイズで読むのとコミックスで読むのではひょっとしたらかなり感覚が違うかも知れません。

夏目友人帳 (2) (花とゆめCOMICS (2969))

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