小説・漫画好きの感想ブログ

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「アルスラーン戦記13 蛇王再臨」

 
 今回は、何故だかどうしてだか前評判がイマイチ噂として届いていなかったので不意打ちのように出て来たアルスラーン戦記 新刊です。田中芳樹さんという人は、「創竜伝」のときもそうでしたが、突然シリーズを別に区切りでもなんでもないところで止めてしまう悪い癖があるので、この「アルスラーン戦記」も下手したら2年ぶりくらいではないでしょうか? いつの間にやら十八歳で年上だったアルスラーンがいまや遥かに年下になってしまいました。
 さて、あまりに間が空いてしまったのでストーリーのほうも結構うろ覚えな部分があったりして復讐が必要でしたが、そこはそれ、ファンとしては出た以上はしっかりと読んで楽しみました。特に、今作では、各地でさまざまな展開があったので、物語が一歩前に進んだ感がありました(それだけに、この次の巻が「三年たったら会いましょう」的なことになると、再びお勉強がいります)ので満足は満足でした。
 例えば、かつて主人公のアルスラーンと旅の途中で出会い、縁のあったルシアニア一元気な見習い騎士のエステルがアルスラーンと再会する恋愛的シーンもありました。かつてたびたび紛争の重要拠点として舞台となったペシャワールの放棄作戦が展開されたり、ヒルメスが相変わらずの権謀術作と剣の力で国取りをすすめたりと軍記ものとしての見せ場シーンもありました。また、この物語のキモというかボスキャラ的な存在である両の肩に蛇を生やした魔神・蛇王ザッハークの復活というファンタジーシーンもありました。かように、あれやこれやの見せ場が盛りだくさんでしたから、そこは満足でした。 
 ただ、惜しむらくはせっかく揃ったアルスラーン解放王の十六翼将が、せっかく16人揃ったと思ったのが、、、というところや、、、もう一人の重要人物の死亡のシーンなど。田中芳樹さんという人は、このアルスラーン戦記や「タイタニア」、「マヴァール年代記」など、あと忘れてならない「銀河英雄伝説」などの戦記物となると、ちょっと人の生死をけっこう突き放した様な淡々としたタッチで書く人なので、これこそが田中芳樹流ということになるのかも知れませんし、今まで通りといえばその通りなんですが、けっこうあっさりと人が死んでいくので、それが少しだけ物足りなかったです。もうちょっと、ほんのもうちょっとだけ別れのシーンは感情的になってもらってもよかったかなぁと。
 勿論、小説としての瑕疵には当たりませんし、あくまで個人的な好みとしては、という所ですけれども。
 なんにせよ、アルスラーン戦記、だんだんと読み続ける人が少なくなってきていることとは思いますが、最後まで、完結まで読んでいきたいと思います。ペルシア風の世界を舞台にした物語ってほかにあんまりないので、そのあたりのオリジナリティ溢れる世界を最後まで堪能したいです。

蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス)

蛇王再臨 アルスラーン戦記13 (カッパ・ノベルス)


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