小説・漫画好きの感想ブログ

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「九代将軍は女だった!」 古川愛哲著

 
 江戸時代の歴史の隠された闇や、巷間流布している一般常識と違って事実はこうなんだというようなものを集めて書いてある新書です。同著者で「江戸の時代は大正時代にねじ曲げられた」「この漢字が読めますか?」などがあるようです。
 さて、本書で一番の驚きの話は、表題タイトルの通りの「九代将軍は女性だった」という説。読む前はいわゆるトンデモ系の話かと思っていたら、それが存外そうでもない。九代将軍といいますから先代将軍はかの吉宗公。彼の息子ということになっているこの徳川家重は資料を読めば読むほど女性であるという説もかなり信憑性があるのではと思われてきました。
 例えば、学術調査であばかれた墓に入っていた家重の遺体は、大きさ、バランス、骨の厚み、骨盤の形などからすると女性だといったほうがいいと形であったことが記録されています。また、この将軍だけが様々な場所への移動の際に、トイレをわざわざ人目につかないとこに独立して建てられたこと。ほとんど言葉を明瞭に発したことはなく、大岡忠光を通して話していたこと(ちなみに、この忠光はあの大岡越前守忠相の息子です)。などなどから始まって、その結婚や、晩年、死亡時の様子などから重層的に、実は家重は女性だったのではという説をだしてきます。これがなかなか説得力があって,実に面白いものでした。
 そのあとも、大きく章分けすると四章にわけて、徳川家康の実像、世を揺るがした事件の真相、大名達の七転八倒。幕末の真相として、それぞれで歴史の裏側のコネタや、実はこういう説もあるんだというような雑学的な話がこれでもかこれでもかと出て来ます。
 雑学系の本としても非常に内容が豊富です。
 この手の本だと一つ二つのネタで長々とひっぱるものが多い中、惜しげもなくたくさんのネタを出し、一つずつを短くやってくれているので読みやすくて好感が持てました。普段なら手にとらなかったでしょうが、先日よしなぶふみさんの「大奥」という男女逆転の世界を描いた作品を読んだあとなので読んでみましたが、結構楽しんで読みました。

九代将軍は女だった! 平成になって覆された江戸の歴史 (講談社プラスアルファ新書)

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