「ふたつのスピカ」2・3巻 柳沼行著
中国で有人宇宙船「神舟7号」が打ち上げに成功、宇宙遊泳している映像が流れたのが数日前。アメリカ、ソ連に続いてこれで中国が世界第三番目の有人宇宙飛行に成功したというニュースに、ちょっとなんだか羨ましいなぁと思った日本人は僕も含めて結構いたことと思います。だからどうした? と言われたらそれまでだし、本作の中でも言われている反論として「あんなことにお金を使うより地上で困っている人やものに予算を使ったほうが遥かに役にたつ」と言われたらそれまでなんですけれど、でも、宇宙に人間が行くというのはなんだかとてもロマンチックで、素晴らしいことのように思えるのです。
さて。そんな宇宙飛行士を育てるべく設立された東京宇宙学校に通う鴨川アスミを主人公にした「ふたつのスピカ」の2巻・3巻を読みました。1巻では、彼女がこの学校に通うまでとこの作品の背景、主要人物の説明がされたところで終わっていましたが、この2巻からは予想通りに学園生活が、まわりの友人達と一緒に群像劇として描かれていました。
彼女の父親との関係から、アスミを目の敵にして学園から追放しようとする教師も含めて、彼女のまわりの一人一人も色々と抱えているものがある人物であるということが分かり、主題は明るく、主人公も健気で明るいし、たっちもメルヘンチックなのに、どこか陰影の強いのがこの作品の特徴なのだなという事が分かり始めました。
よく考えてみれば1巻からして事故で母親が亡くなっていたり、アスミの側にはライオンの着ぐるみをきた幽霊が常にいたりするわけだから、もっと早くに気付いてもよかったのですが、絵柄の可愛らしさ(下手をしたらちょっと昔風のタッチの同人誌的タッチ)に気付かずきました。が、そういう暗い事実がある中でも主人公ががんばって成長していく話なんだと思って読み返せば、尚更一層、けなげな主人公にさらに一層保護欲みたいなのをかき立てられたりもします。
このアスミという子は、身長も極度に低くて15歳だけれどまだ140センチそこそこしか身長もなく、それがまた一層、大変なことにチャレンジしている感を出していて感動のツボをおされます。ちょこっとチェックするとフラッパーという雑誌でまだ連載も続いているみたいだし、この先が楽しみです。
- 作者: 柳沼行
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追記:今月は「HUNTER×HUNTER」の新刊とかも出るし、ジャンプでの連載も再開するし、結構漫画が楽しみな月です。