小説・漫画好きの感想ブログ

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「瀧夜叉姫(下)」 夢枕獏著

 本年309冊目の紹介本です。
 先日紹介した夢枕獏さんの「瀧夜叉姫」の下巻です。
 ついに蘇った平将門。彼が何故普通の刀剣が通らない鉄のような身体になったのか、一回りも二回りも巨大な身体になったのか。首を落とされてから二十年、将門復活の為に動いていたものの真実の姿がここに現れた。という下巻なんですが、上巻で源博雅の出番がもっていかれちゃったと嘆いていたのがまだ甘かったように、この下巻ではなんと安倍晴明の出番までもが奪われています。と自分は感じました。
 長編なんで、いろいろなキャラクターが出てくるのは全然構わないし歴史上の人物と意外な関係で意外な事件に巻き込まれるというのは望むところの展開なんですが、今回に限っては、なんか博雅・晴明の主役コンビまでもがいいところを奪われて霞んでしまったようでちょっと勿体なかったです。
 定番の、
 「いこう」
 「いこう」
 そういうことになった。
 というような流れや、博雅と晴明のお互いに対する愛情を感じられる会話もいつものようにありましたが、でもなんだろう、ちょっと喰われちゃったかなぁという気がします。それも将門よりも、俵藤太にもっていかれた感じがありました。もともとは短篇が主体のこのコンビの物語なんで、切れ味でいえば短篇のほうがいいんですけれど長編ならではのもっとうまい二人の見せ方とかは別に会ったような気もするので、楽しんだのは楽しんだんですけれど、ちょっともったいないなぁというのがやはり強かったです。

陰陽師―瀧夜叉姫〈下〉 (文春文庫)

陰陽師―瀧夜叉姫〈下〉 (文春文庫)

 
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