小説・漫画好きの感想ブログ

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「闇の公子」 タニス・リー著

 本屋さんで、この本が復刊しているのを見て固まってしまいました。
 実はこの本、自分にとって非常に思い入れがある本だったからです。
 というのも、今を遡ることン十年以上前ですが、当時つきあっていたお嬢さんが貸してくれたのがこの本だったのです。当時まだ高校三年生だった自分が、グイン・サーガ絡みで知り合いなって年上なのもなんのその当時大学四年生だったお嬢さんとつきあってしばらくの時に貸してもらったのが、この「闇の公子」と「エルリック・サーガ」だったのです。いってみれば、自分が、本当の意味でのファンタジーに触れたりはまったりしたきっかけがこの本だったのです。でも、昔のファンタジーということで、店頭からはいつしか消えてなくなり、その名前すら世の中から消えていっていたのが、このたびの復刊。非常に驚きましたし、個人的にとても嬉しかったです。
 中身のほうは、正当派のファンタジーで、耽美な世界で、そのあれですよ、非常に同性愛的な部分もあったりします。しかも暗喩じゃなくてそのままストレートな描写で、そのシーンも描かれていたりします。闇の公子と呼ばれる類い稀なる美貌と魔力をもつアズュラーンが人間の美青年を見初めて「私の息子となり、弟となり、愛人となるのだ」と宣言するシーンなど、あまりに一方的でありますが、それを受け入れるほうが感激にわなないているシーンなどはまさに耽美の極みで、ボーイズラブとかいうような括りで扱うべきではない高みにあるような気がします。 
 。。。と、ここまで真面目に書いててふと思いましたが、果たして彼女はどうしてこの本を貸してくれたのでしょうか? しかも「私が一番大好きで、心の底から気にいっている本」という注釈つきで。今にして思えば、あれはなんらかのカミングアウトでもあったのでしょうか。

闇の公子 (ハヤカワ文庫FT)

闇の公子 (ハヤカワ文庫FT)


  
 耽美といえば、昔永遠の美少年美青年であった、ジュリーこと沢田研二さんが還暦ツアーをやっていますね。人間60年ジュリー祭りとかいうロックコンサートツアーのようですが、ジュリーは、あいかわらず凄いです。この本を読んでいた当時はヒット曲連発でした。