小説・漫画好きの感想ブログ

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「ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い」 西尾維新著

 紹介が遅れていましたが、西尾維新戯言シリーズの最終巻です。
 戯言遣いのいーちゃんと、玖渚友、そして哀川潤の物語もいよいよ完結しました。表紙を見た瞬間にわかっちゃうと思うのであえてばらしてしまいますが、一応はハッピーエンドを迎えます。前作の中盤で、玖渚友は病気で確実に死ぬということが宣言されていたし、いーちゃんに対して「一緒に死んでくれる?」と問いかけて拒否された部分でもう終わりかと思いましたが、一応のハッピーエンドをしてくれます。
 しかし、どこかしっくりとこない結末でした。
 ファンの中でもそれは同じようでブックレビューとか見てみても酷評とまではいかなくても不完全燃焼や伏線の未回収を挙げておられる方が多いです。さりとてそれが同意を得ているかというとそうでもなく、良かったという声も多い不思議な感想が多いオチでした。自分もなにか座りが悪いというかどこか釈然としない感覚を持ちました。
 もともとが普通の人たちの枠からはみ出てしまった人たちの話であり、戦いであり、殺し合いであるわけで、倫理やモラルや常識がない物語だったはずなのに、最後の最後で急に普通の物語的な世界観になられてしまっても、、というところでしょうか。ありえない設定、ありえないキャラでいくのなら最後まではじけていてありえない結論になって欲しかったです。もっとも、それでいて主人公たちには仲良くしわせな結末を迎えて欲しいなどという矛盾をするのもファンですから、その中で皆不完全燃焼なのでしょう。
 あと、青色サヴァンの彼女が、シリーズ全編を通じて徐々に存在価値というか意義が、活躍の場も含めて少なくなっていったのが残念でした。第一巻の「クビキリサイクル」の時には玖渚友も主人公かというくらいだったのに、その能力や活躍がめっきりなくなってしまったのがちょっと肩透かしだったかな。最後の巻とかでそのあたりが解消されるかと思ったのですが、そこもなかったので。
 ともあれ、これで戯言シリーズは完結です。

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)