小説・漫画好きの感想ブログ

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「天才柳沢教授の生活」26巻 山下和美著

 敬老の日だから、というわけではないですが、「天才柳沢教授の生活」という漫画です。
 この画像だけみると、柳沢教授、獣医学部の教授のようにみえますが別にそういうわけではありません(ちなみに経済学者です)し、作品の中では教授の専門分野の話は殆どでてきません。では何が出てくるかというと、柳沢教授という真面目で好奇心の固まりで自分ルールがすごく徹底している教授の日常と、その出会う人々とのお話です。 
 言葉でその魅力を伝えるのがすごく難しいですが、何事もトコトン突き止める教授の姿勢が、不思議なおかしみを生み出します。今作でも、同期の教授が、ゼミ生からの自身の誕生日パーティーを開かれるが生まれてこのかた誕生日パーティーの意味がわからないが、どうして祝われるのかがわからないと半ば怒りながら打ち明けるのに、必死でいろいろと考えてついに至る結論には感動と、ちょっと遅れて「そこまで考えなくても」と突っ込んでしまうたぐいの笑いがあります。
 もちろん、そんなややこしく考えなくても笑える、孫の華子と飼い猫との交流や、教授の若い時の密かな恋の話なんかもあったりして、意外とバラエティ豊かなのもこの「天才柳沢教授の生活」の魅力です。
 端正な線で描かれたこの漫画、例えるなら、、、落ち着いて文学的考察を増やした佐々木倫子? のような感じです。まぁ、なんとも不思議な味わいのある作品です。不思議といえば同じ山下和美には「不思議な少年」という少し哲学チックな不思議な物語もあります。寡作な方ですが、コンスタントに面白いお話を提供してくれます。

天才 柳沢教授の生活(26) (モーニングKC)

天才 柳沢教授の生活(26) (モーニングKC)