小説・漫画好きの感想ブログ

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「砂漠」 伊坂幸太郎著

 伊坂幸太郎さんの最新作「砂漠」読みました。
 文句なく面白かったです。プロットの巧みな、小さなエピソードが全部無駄にならずに回収されて最後に繋がっていくのはいつもながら伊坂マジックで、読んでいてとても気持ちよかったです。
 青春エンタメ小説、と言えばいいのでしょうか。
 伊坂作品には珍しい(と思うんですが)大学に入学したての5人の男女が主人公で、彼らが仙台にある大学で学生生活を送る中で出会ういろいろな大学生らしいエピソード(もちろん合コン、恋愛、破局、学園祭、クリスマス、免許取得などなど)を描きつつ、それでいて大筋の話がしっかりと最後まで繋がっていく。いつもながら完璧な作品です。伊坂作品は本当にハズレがないです。
 髪の毛をたてて、つんつんにした「かわせみ」みたいな鳥井。
 ちょっとクールで。人付き合いが悪いようでそうでもない岩手出身の主人公「北村」
 人とずれていて、熱くいろいろな事に義憤を燃やす、信念の人「西嶋」
 クールビューティ、超絶の美人の「東堂」
 人見知りしがちな、でもサイコキネシスの使える本物の超能力者「南」
 この東西南北が名前についた4人+1名が名前の通りに麻雀したり遊んだり、仙台で多発する連続膀胱魔事件や、窃盗団事件などに関わったりしながら進んでいくこのお話は本当にとても楽しかったです。春夏秋冬1シーズン一章で1学年ずつ上がっていく章構成も見事に完璧でしたし、文句を言うところが一つも見当たりませんでした。
 とにかく面白いです。青春エンタメとして完成品です。5つ星評価の星5つでお勧めです。あ、蛇足ながら「チルドレン」に出ていた某氏の話もちらりと出て来ます。
 ちなみに、2008年「本屋大賞」、第21回「山本周五郎賞」受賞作品だそうです。 

砂漠 (Jノベル・コレクション)

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