小説・漫画好きの感想ブログ

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「闇の守り人」上橋菜穂子著

 「精霊の守り人」を読んで気にいって、一気にシリーズ作品に手をつけ始めてしまいました。 
 非常に面白いシリーズだし、構成にしろ内容にしろ非常に充実していて、非常にお勧めの作品です。 
 
 今作の主人公は、前作の主要メンバーの一人「バルサ」、彼がメインのストーリーです(ちなみに次の巻ではタンダやトロガイ師、その次にはチャグム皇子が再び登場)。今作では「精霊の守り人」で少しだけ語られていた、バルサとその育ての親であるジグロの過去と現在が語られます。ジグロは、バルサの父が国家的な陰謀にまきこまれた時、親友の娘であるバルサを守るため、家族を捨て国を捨てます。そして彼自身も、そのために反逆者の烙印を押されて追っ手までかけられる中で彼女を育ててくれたのです。
 バルサは、そんなジグロの本当の姿を彼の家族に伝えよう、できれば名誉も回復したいという希望を込めて生まれ故郷であるカンバル国へ向かいます。しかし、そこは王も代代わりして新王がたっているのに、いまだに影で陰謀が練られている国でした。しかも、その陰謀は国内にあるもう一つの国を滅ぼそうとする大規模なものでした。
 再びその渦中に巻き込まれることになったバルサは、その過程で故郷カンバルに隠された大いなる秘密を知ることになります。それは、非常に厳しいものであると同時に、厳かで読後に圧倒的な何かを残すようなものです。
 ヒョウル「闇の守り人」に関わることがその謎であり秘密なんですが、この秘密の存在の真実はけっこう重いものなので、山の民の真実もあわせて読むとすごく重い気持ちになると思いますが、最後まで読むとものすごく胸に来ると思います。
 実際、自分にとっては「精霊の守り人」も良かったけれど、個人的にはこの「闇の守り人」のほうが好きです。ビルディング小説としては前作のほうがもちろん優れていますが、ファンタジー小説としてはこちらのほうがより神秘的で好きですね。
 前作を読んだときのレビューにも書きましたが、是非このシリーズは読んで欲しいですね。

闇の守り人 (新潮文庫)

闇の守り人 (新潮文庫)