小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「三国志男」さくら剛著

 日本の男性で、三国志を全く知らないという人はいないでしょう。
 大筋はわかっていなくても、曹操劉備呂布孔明、桃園の誓い、赤壁の戦いなどの人名や固有名詞はきっとファンならずとも知っているに違いありません。それくらい三国志はメジャーに浸透しています。昨今では中国で山岡荘八版の「徳川家康」が大ブームだそうですが、日本でも三国志は昔から大人気でした。漫画版だと横山光輝が有名ですし「蒼天航路」という作品もブームになりましたし、小説版でも吉川英治版以、降北方謙三版だとかかたくさん出続けています。ゲームでも光栄の三国志はバージョンアップし続ける人気ソフトだし、三国無双のおかげで若い世代にもファンは多くいます。
 しかし、その三国志の生まれた本場中国で、史跡を訪ねたという人はどうでしょう。自分の周りにはいませんでした。ただ、普通の感覚でいくと、日本の古戦場跡や史跡後のように、けっこうおごそかな感じになっていたり、遺構がいくつか復元されていて観光名所になっているだろうと勝手に想像していましたし、皆さんもそうでしょう。
 が、だがしかし! さすがは中国です。そんなような感慨を木っ端みじんにしてくれるくらい、三国志由来の明晰は不思議かつ面白い状態になっていました。それも本当に「まぁ中国だからね」というしかないような状態でです。
 本書の著書のさくら剛さんは、三国志好きが高じて中国に旅立ったというだけあって、三国志のことについてのツッコミやこだわり、見るべきポイントが半端でないんですが、それにこたえるだけのものが中国には残っていましたし、自分も三国志はかなり好きなんではまれました。あ、でも、三国志にそんなに詳しくない人でも、著者がもともとは芸人志望ということで、笑えるポイントを着実に見つけていくし、文章も面白いので結構笑えると思います。
 個人的に馬鹿受けしたものを三つほど挙げれば、

 ・阿斗の石像。これ、赤ちゃんの姿のものが草むらに置かれているそうです。原作では後にお馬鹿の代名詞ともなる阿斗。もちろん超雲が単騎で数万の敵軍の中をこの劉備の息子を助け、それを受けて劉備が息子を投げ捨て「子どもなんてまた作れるがお前のような部下は得難い」と言ったというシーンの再現なんですが、、、赤ちゃんの石像が草むらにあっても。。
 ・壇渓跡地。これは劉備が愛馬の的廬を駆って敵地から脱出するシーンがあった箇所ですが、跡地によれば、たかだかここす二メートル弱の箇所らしいです。祭瑁、そこは追っていかないと、、とツッコミ多数。
 ・徐庶の石像。これも徐庶の生誕地にある像なんですが、、あの徐庶の石像は普通の生活をしている地域民にはそんなに敬意を払われていないのか石像があるところにも洗濯物がたくさん干されていて、洗濯物にまみれています。近くに彼の歴史が書かれたセンターがあるらしいですが、そこにはってある紙の中には、こんな一文があったそうです。「徐庶的奇妙冒険」いやいやそれ「ジョジョの奇妙な冒険」ってネタじゃないですか。確かに、劉備軍から曹操軍、そんでもって退職と奇妙な生活をした彼ですが、、、。中国の関係者にも日本の漫画マニアがいるんでしょうか。

 ともあれなかなか楽しいですし、あまりに広大な中国のこと追体験でまわろうとは思いませんが、なかなか面白かったです。表紙はしりあがり寿さんです。孔明ファンに怒られそうな表紙です。

三国志男 (SANCTUARYBOOKS)

三国志男 (SANCTUARYBOOKS)