小説・漫画好きの感想ブログ

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「のだめカンタービレ」21巻 二ノ宮知子著

 大ブームとなった「のだめカンタービレ」の最新刊です。
 前作では、音楽とむかいあい何かを突き抜けて芸術家・音楽家として新たなステージへと向かっていくのだめと、それに置いていかれないようにと決意を固める千秋先輩の姿が描かれていましたが、今作ではそれとはまた別角度から、Ruiと千秋のコンサートをきっかけに、Ruiとのだめが全く逆の精神状態から高みに進んでいく姿が描かれています。Ruiは恋愛的感情から音楽を楽しむ、音を楽しむことで一つ階段をのぼり、のだめはそれを見て自分がやりたかったことを先によりにもよって千秋先輩とRuiのカップリングでそれをやられ、絶望から新しい表現を得ます。
 芸術は辛いだけでも悲しいだけでも、ましてや楽しいだけでも嬉しい事だけでも表現の幅が広がらないのだけれど、それをきちんと描いてくれています。
 さて。気になるのはそういう状態の中での、のだめに対するミルヒーことシュトレーゼマンと、オクレール先生の動き。どちらも、のだめに何を見ているのか、のだめに何を託そうとしているのか、焦るようにのだめに何かを残そうとしている二人。千秋先輩よりも、実は、より天稟に恵まれているのはのだめの方ではないのかと思わせる伏線がここにきて収斂されていくのか気になる展開です。
 明るく楽しい笑わせてくれるギャグクラシック漫画という単純なカテゴリーでは、すでにおさまらない話になってきています。笑いがたくさんつまった「のだめカンタービレ」も良かったけれど、こういう「のだめ」も好きです。まぁ、個人的にはもうちょっとだけ笑い要素が欲しかったりはしますが、ストーリー的には満足して楽しんでいます。 

のだめカンタービレ(21) (講談社コミックスキス)

のだめカンタービレ(21) (講談社コミックスキス)