小説・漫画好きの感想ブログ

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「バカ親、バカ教師にもほどがある」 藤原和博と川端裕人

 タイトルは非常に挑戦的ですが、実はそうでもなくて今の学校の抱える問題について、学校側からの意見、PTAも含めた親からの意見をどちらもバランスよく取りあげ、本当はモンスターペアレントなるものは殆どおらず、どちらもがお互いの言語を理解していないが故の余計なトラブルが発生しているだけだという論旨の新書です。
 どちらもがお互いに対して理解ができなかったり、過剰に防衛、攻撃するからトラブルが発生するのだというのはたぶん多くはその通りなのでしょうけれど、あまりにモラルのない言動を繰り返す親の出現や、大分県の問題に代表されるような腐敗した教師が大量生産されている現状を知ると、この本で取りあげられている事例やケースは、あまりにもそれは理想論というかうまくいっているケースを中心に作り上げた出来る人たちの話に見えてしまいます。非常に残念ですけれど、そう思えてしまいます。
 藤原さんといえば、「夜スペ」に代表される特殊な学校教育を押し進めている方で学校に地域ボランティアが百人単位で動いているし、予算も寄付を含めいろいろな点で一般の中学とは違う形で運営している方です。また川端裕人さんは、小説家として「夏のロケット」「せちやん 星を聴く人」などを著している方でこれまた一般の保護者とはスタンスも感覚も違う方で、そのあたりが余計にそういう思いを強くします。
 これが一般のごくありふれたどこにでもある中学の校長と、どこにでもいる父兄が書いたのならまた違う感覚をひょっとしたら得たのかも知れませんが、元教職関係でいわゆるモンスターペアレントと呼ばれる人たちと生で対峙したり、腐敗した教師とじかに接したことのある自分からすると、この問題をごく一部の例外はあるけれど、大半はコミュニケーションの問題で片付けてしまうのは危険な気がしました。

バカ親、バカ教師にもほどがある (PHP新書)

バカ親、バカ教師にもほどがある (PHP新書)