小説・漫画好きの感想ブログ

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「蜘蛛の糸」芥川龍之介 SDP Bunko

 最近、芥川龍之介夏目漱石の有名作品の別カバーバージョンがよく出ていますが、これもその一つです。が、他とちょっと基本コンセプトが違って、他の別カバーバージョンは集英社のものにしろ角川文庫のものにしろ、小畑健CLAMP荒木飛呂彦などのポピュラーで人気漫画家の表紙を使って本を売ること(つまりは手にとりやすく古典ながらとっつきやすくすること)に主眼を置いているのにこのSDP Bunko(SPD文庫)というレーベルは、そうではなくて、小説+女の子の写真集的なコラボで前出のパターンのようなことも狙いつつも写真に起用されている女の子たちを売り出そうとするような意図が見えております。
 なので、見る人が見ればかなり邪道というか、企みが見えすぎてあざとさが更に倍加しているように感じられるでしょうね。中身がしっかりとした古典作品だけに、ある程度手にとってもらえる事を計算に入れてという話なのでしょう。そのあたりがあるので、評価は賛否別れることと思います。
 さて。中身はもう有名すぎるほどに有名すぎる話なんですが、この「蜘蛛の糸」の原典というか元ネタ(芥川さん自体が翻案しているのです)が本当はどれなのかという論争。これにもそろそろ文学研究家さんがばしっと結論を出してくれればいいなぁと思うのですが、皆さんはどれを推しますか? (邪馬台国の近畿説と九州説のようになかなか結論は出ないかも知れませんが) 
 ちなみに自分が知っているだけでも、スペイン民話の「聖女カタリーナ」、アメリカの研究家がインドからひっぱってきた「カルマ」という作品、そしてドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の中にでてくる「一本の葱」という話が内容的には、「蜘蛛の糸」に似ていますが、「一本の葱」という話はかなり酷似していますので個人的には一押しです。

蜘蛛の糸 (SDP Bunko)

蜘蛛の糸 (SDP Bunko)

SDPが“文庫+写真集”の新ブランドSDP Bunko『文学日和〜晴れたらいいな〜』を創刊した。

「文学へのへの興味・関心を深めてもらうのが目的です。物語の雰囲気に沿った表紙やグラビアで目をひき、これをキッカケに名作文学に親しんでもらえれば」と立ち上げられた新ブランドの第1弾シリーズとして夏帆宮沢賢治注文の多い料理店』)、山下リオ夏目漱石『こころ』)、岡本杏理樋口一葉『たけくらべ』)、早見あかり(芥川龍之介『蜘蛛の糸』を7/20(日)に同時発売。それぞれ表紙と巻頭グラビア8ページを飾っている。
第2弾は9月27日に発売予定。第5弾までのシリーズ全20作まで刊行予定。