小説・漫画好きの感想ブログ

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「フロスト気質」 R・D・ウィングフィールド

 創元推理文庫も必死で頑張っているとは思うものの、一冊の本が上下巻で文庫で出てそれが二冊で2200円をオーバーするとなるともう文庫ではなくてハードカバーで一冊のほうがみんな買わないか? と思ったり思わなかったりすることと思います。ガソリンの高騰に比べれば文庫本の高騰なんて屁でもないくらいの軽いレベルなんでしょうけれど、でも、けっこうガツンとくる値段ではあります。確かにぶあつさも京極夏彦なみのレベルの分厚さですが。
 ただ、そう思って手に取っていないあなた、前作・前々作とこのフロストシリーズを読んで面白かった記憶があるあなた、あなたは迷ってはいけません。フロストのあの行き当たりばったり出たとこ勝負、世が世ならセクハラと公務逸脱で免職確定男は今回もまたあの超マイペースで「下品なジョークを心の糧に」活動しております。面白さは保証付きですので、騙されたと思ってそのまま本屋さんへ直行して下さって結構です。
 上巻しか読んでないんで、これがこのまま超駄作・馬鹿ミスになる可能性もなくはありませんが、このフロストシリーズに関しては完璧にもういい意味でキャラ小説・娯楽作品ですから、ハズレることはないでしょう。イギリス人やイギリスを舞台にしたミステリというのは時にとんでもなくこういう無茶な方向に娯楽に徹することがあって、個人的にはそういう系譜も好きです。日本人がこれやると単に品がないだけになるんだけれどこのへんのさじ加減はもう長い間の文化なのでしょうかね。
 (たとえばこの系譜だと「くまのパディントン」で知られるのマイケル・ポンドの「パンプルムース」シリーズとかが一番色濃く下品な方向に走っています)
 ともあれ、今までのフロストシリーズが好きだった人には間違いなくお勧めです。

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)