小説・漫画好きの感想ブログ

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「密林の骨」 アーロン・エルキンズ著

 ギデオン・オリヴァーのスケルトン探偵シリーズの最新文庫です。
 文化人類学者でありながら、死体の骨からの推理で事件を何度か解決したためにスケルトン探偵というありがた迷惑な呼称を奉られているギデオン。今回も、完全にオフの格安旅行ということで、友達のジョンと旅行代理店フィルとともにアマゾンクルージングに出たはずでしたが、完全にお約束の殺人事件に巻き込まれます。
 文化植物学者たちの学術研究フィールドワークチーム(あくまで表向きは)と同じ船に乗り込んだギデオンは、チームリーダーのアーデンが参加メンバーのほぼ全員から怨みをかっていることに嫌な予感を覚えますが、オフだし完全に気を抜いていました。すると、アマゾン川を下る彼らの船に、突如インディオたちの警告の槍が突きたったのです。
 果たして、それはインディオの復讐の槍なのか、それともチーム内での殺人予告なのか。。。
 毎度毎度ながら、エンタメとミステリをうまく融合させてくれていて安心して楽しめます。愛妻のジュリーの出番がなく、そのぶん事件に集中している本作ですが、全編がアマゾン川のクルージング中に起こるという限定空間での物語なのでオリエント急行殺人事件のように一直線の物語であるぶん、謎解きやミステリ部分のプロットは甘いところがありますが、それでもしっかり楽しめるように出来ています。
 そして、今回は翻訳がなめらかだなと思っていたら翻訳者がこの数巻つとめていた別の方ではなく、もともとこのシリーズをつとめていた方に戻っていて、そのあたりも読みやすくなっています。やっぱりシリーズ途中の担当翻訳者の変更は物語の面白さを減じるものであるなぁと改めて思った次第です。

密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)