小説・漫画好きの感想ブログ

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「詩集 エイプリル」 銀色夏生著

 笑うかも知れないけれど、結構自分は詩集なんかも読んだりするんだ。
 似合わないなんて言わないでくれ。
 これでも、書いてるほうがなんだか気恥ずかしくて顔が赤くなるんだから。
 漢詩だとか、俳句なら堂々と言えるのに、自由詩を好きだなんて言うと奇異な目で見られすぎるからかも知れない。でも、本当は、自分という人間に「詩なんていう繊細なものは似合わないだろう」と自分自身が一番違和感をもっているからなんだろうな。
 そんなわけで、銀色さんの詩集の紹介は、一番気にいった作品を一つ二つ紹介して書評に変えるよ。


 「酷暑の週末」

 水しぶきが
 芭蕉の葉っぱを
 水玉になってころがっていく
 
 パズルを解くみたいに
 数少ない君からの言葉を
 想像でおぎなって
 入れ替えてみても
 どんなに
 ひっくりかえしても
 正解ができるはずはなく
 
 たぶんまちがった希望的解釈を
 もう百遍も思い巡らしている
 酷暑の終末


 「疑われるということ」  
 信じていたから
 信じるかどうかなんて考えたこともないくらい
 信じていたから
 疑われて悲しかった
 疑われてくやしかった
 なんにもわるいことするつもりはなかったのに
 なぜ疑うのかわからない
 疑うなんて だれがすること?
 疑うことは 他人のすること
 疑われたということは
 僕をいったいどんなふうにとらえていたんだろう
 初めから疑ってたんだね
 初めから信じてなかったんだね
 それなのにやさしい人のふりをしてたんだね
 それってつめたくされるよりも
 ずっとずっと嫌だよ

 
 「波紋のちから」  
 小さな石でも
 一度 湖に投じたら
 その波紋は すみずみにまで届く
 僕はその波紋のちからを信じる


 ※最後の一編はもちろんのこと「黄金の波紋疾走」のジョジョの奇妙な冒険とは関係ないのであしからず、念のため。

詩集 エイプリル (角川文庫)

詩集 エイプリル (角川文庫)