小説・漫画好きの感想ブログ

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「ぶっせん」(中) 三宅乱丈著

 仏教繋がりというわけではないのですけれど、「ぶっせん」という禅宗系の全寮制専門学校のギャグ漫画を紹介。連載はもうずいぶんと前に終わって、単行本も全部出ていますが、数年前に愛蔵版という極厚の三冊組のものが出ていて、これはその(中)巻です。
 田舎の山中にある二つの寺、かたや主人公達「ぶっせん」のいる禅宗系の極貧の禅寺、かたやその裏手にある真言宗系の裕福な寺。この二つは宗派も違えば旦那衆も違います。一応,相互の交流もなくはないですが、敵対的関係にあります。ので、「ぶっせん」が目障りな金福寺はあの手、この手を使って「ぶっせん」を潰そうとゆさぶりをかけてきますが、なかなか上手くいきません。それもこれも、この漫画に出てくるキャラクターたちが敵も味方もあまりに濃いすぎて、まともな展開ににならないからです。キャバクラで遊びまくる和尚、男子校なのに宝塚に憧れて男子のふりをし続ける修行僧、寺の軒下で寝ている人間センサーの修験社、頭がいびつな教師「つまんだ」。などなど超個性的な面々が絶対に笑わせてくれます。
 ギャグ漫画なんですけれど、ところどころに禅寺ならではの哲学的な話がさらりとギャグで出て来たり、いまや大人気になってきた「聖☆おにいさん」に通じる宗教系ギャグ漫画の傑作の系譜に連なる作品です。
 言葉に表す事のできない不思議な面白さのあるこの作品。三浦しをんさんの解説付きです。コミックス版三冊ぶんくらいが入っているので、わりあいとお買い得な一冊です。

ぶっせん 中 (F×comics)

ぶっせん 中 (F×comics)