「弁護士のくず」7巻 井浦秀夫著
無茶苦茶ながら腕のたつ弁護士、九頭のシリーズ最新刊です。
前巻では、盗作疑惑(というよりは盗作とはなんぞやという話になりましたが)で話題をさらったこの「弁護士のくず」ですが、今号でも裁判員制度についてのネタがあり話題にことかきません。監修に弁護士さんがついているので、無茶なようでもきちんと筋のとおったオチがつき、安定した面白さをキープしています。
この面白さは、逆転法廷みたいな痛快な法廷戦術を楽しむものでもなく、またあっと唸らせるトリック解体のミステリ的なものでもなく、人情ドラマを見ているような面白さです。主人公は当然のことながら弁護士だし、裁判という生身の戦いが舞台の漫画ではあるものの、ひょうひょうと時に笑いさえ生むストーリーと語りはあくまで楽しいです。たぶん、人減くさすぎる主人公の良さでしょう。女性がらみの事件が多い(主人公の性格故かも知れませんが)だけに、余計に、なんだかんだいったって、しょせん法律なんてのは人と人の間の事件の落としどころを探すものでしかないのだよ、といったようなスタンスが肩が凝らずに楽しませてくれます。
ビートたけしの簡単落書きみたいな顔の主人公ともあいまって、お気楽に、でもときに鋭い考察なんかをさらっと描いてるこの作品は末永く続いて欲しいです。
- 作者: 井浦秀夫
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/06/30
- メディア: コミック
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